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出産にかかる費用は、病気やケガではないので保険適用外。妊娠後初めて費用が全額自己負担であることを知って、落ち込む方もいるのではないでしょうか。しかし、費用全額ではないですが、出産の負担を減らしてくれる国からの給付金があります。それが『出産育児一時金』です。
2022年12月、岸田文雄総理大臣によって出産育児一時金の50万円への増額が発表されました。ここでは、そんな出産育児一時金の増額はいつからなのか、財源はどこなのかなどについてまとめています。
出産育児一時金の一人当たりの支給額は現在42万円ですが、今回の決定により50万円に増額となりました。施行は2023年4月からと予定されています。詳細については政令案にて発表され、2023年1月下旬に交付予定です。
今回の政策は岸田政権において子育てなどを重視する政策目標「こどもまんなか社会」の実現に向けた施策のひとつであり、2023年4月発足予定であるこども家庭庁のもと、6月までに道筋を示すことを表明しています。
もともと平成6年に創設された出産育児一時金は、当時の補助額は30万円でした。現在の一人あたりの支給額は42万円(参加医療保障制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.8万円)となっていますが、今回の増額では1人あたり50万円となる見込みで、出産育児一時金としては5度目の引き上げとなります。
そもそも、この出産育児一時金の増額の理由の一つに、出産費用が年々増加していることがあります。産院やそこで受けるサービスにもよりますが、現行の支給額ではまかなえないことの方が多かったのです。
厚生労働省の調査によれば、令和2年度の出産費用の合計額は平均46.7万円。これだけで既に現行の42万円ではこと足りていないことが分かりますが、実は平成25年度の時点で41.7万円、平成26年度では42.1万円と、この時点で現行の出産育児一時金では足りなくなっており、さらにそこから年々出産にかかる費用は増加してきました。
東京のような都市圏では出産にかかる費用は他の地域と比べさらに高額となるため、出産育児一時金ですべて賄うことは難しいかもしれませんが、それ以外の地域であればまかなえる可能性はあります。東京に隣接している、横浜市のある神奈川県の出産費用の平均は「499,404円」であり、平均的な額であれば、出産育児一時金でまかなうことができるでしょう。
情報参照元:[PDF]厚生労働省_05_【資料5】出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について
しかしながら、先に述べたように、出産にかかる費用は年々増加の一途をたどっており、当面は引き続き年1%ほど増加していくことが予想されています。
病院側も昨今の光熱水費などの高騰に苦しんでいるという側面もあり、今回出産育児一時金が増額となることにより、病院側が入院費や分娩費などの費用を値上げしやすいタイミングとなったことも否めません。2023年2月現在、既に値上げを公表している産院もあります。
今後どのような金額の変化があるかはわかりませんが、これから産院選びをするという方はよく調べ、十分検討するといいでしょう。また、現時点で病院側が公表していなくても、出産一時金増額に伴う値上げについて問い合わせるのもいいかもしれません。
では、今回の財源はどこから捻出されているのでしょうか。
今回の増額に関しては、後期高齢者の保険料に上乗せするという形で、75歳以上の方を対象に一時金の7パーセントを財源として拠出してもらうことが決まっています。保険料の上乗せは、2024年4月からの予定です。増額は段階的に行われる見通しで、24年度、25年度は激変緩和措置として負担額は半額となるそう。
保険料の増額の対象は、年金収入が153万円を超える約4割で、24年度には211万円を超える人、25年度には153万円を超える人が対象になっていきます。※2
情報参照元:株式会社Finatext_【2023年】出産育児一時金が42万から50万に増額!いつから?何が変わるのか?
ここまで出産育児一時金の増額についてまとめてきました。
今回の増額は大枠は決定したものの、まだ実際に施行がなされていないために、詳細な情報が出ていない部分もあります。産院などの増額に関しては、現状は病院ごとの方針によるところが大きいですし、制度自体に関しても今後も正式な交付があるかもしれませんから、これから妊娠出産を検討しているご家庭は、都度チェックをしていくことをお勧めします。
使える制度は最大限に利用して、これからの出産や子育てに活かしていきましょう。
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