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後陣痛という言葉を聞いたことがあるでしょうか。そもそも陣痛とは、出産前に赤ちゃんがこれから出てくることを知らせるために起こるものです。しかしながら、後陣痛は出産後に起こる痛みを指します。赤ちゃんが出てくることを知らせるものではありませんが、同じ子宮から発生する痛みであるという点で共通しています。発生場所が同じなので、痛みが似ていることも後陣痛と呼ばれる理由です。出産後に起こる体の変化は様々なものがありますが、痛みを伴うものは多くありません。後陣痛というものがあるということを知っておくだけでも、パニックにならずに済むでしょう。対処方法などもしっかりと押さえておくと、役に立つでしょう。
赤ちゃんは妊娠してから出産に至るまでどんどんと大きくなり、それに伴って妊婦の子宮も大きくなります。出産で赤ちゃんが出てくると、大きかった子宮は元に戻ろうと収縮を始めます。これを子宮復古と呼びます。子宮復古の期間を産褥期と呼び、悪露が出るなどの症状が現れます。後陣痛とは、大きくなった子宮が収縮することで発生する痛みを指します。出産直後の子宮は、胎盤や卵膜などが剥がれているため、出血が起きていることが多いです。その状態を悪露と呼び、出血を止めるためにも強い収縮が起きるのが特徴です。悪露には出産後数日は血液が混じることが多いですが、1週間も過ぎると血液が出なくなります。これは子宮がしっかりと収縮して出血を止めてくれているからです。
後陣痛は出産後すぐに現れます。具体的には、出産後数時間で始まることが多いです。後陣痛が起こる理由は、子宮が元に戻ろうと収縮するため、そして出産によって起こった子宮内の出血を止めるためでした。出血をすぐに止めるために強い収縮が起きるので、痛みはこの時が一番強いです。出産当日、そして翌日は痛みが続き、3~4日経つと痛みが引いてきます。出血が止まるまでにその程度の期間を要します。後陣痛は、子宮が強く収縮する時に起きるので、基本的には出血が止まれば痛みはなくなります。出産後3~4日だけなので、この期間を過ぎても痛みがあるようであれば、医師に相談が必要です。
後陣痛は出産後のママには必ず起こる痛みではありますが、実は痛みが強い人とそこまで強くない人もいます。それは、出産の経験があるかないかによります。出産の経験がない方は、子宮の収縮がゆったりとしており、痛みの程度は強くありません。逆に、出産の経験がある方は出産後の子宮の収縮のスピードが早いため、痛みが強いという傾向があります。出産の経験がある方が、初めての出産の時よりも強い痛みを感じたとしても、それは普通のことなので心配の必要はありません。痛みが強すぎて耐えられないというようであれば、別の問題が起きている可能性もあるので、医師の診察を受けましょう。
帝王切開で赤ちゃんを出産した場合でも後陣痛は起きるということを覚えておきましょう。そもそも、後陣痛は赤ちゃんがお腹の中で成長するに従って大きくなった子宮が、出産後に収縮することで起きる痛みでした。帝王切開をしようがしまいが、子宮が元の状態へ戻ろうとする動きは変わらないため、後陣痛は起きます。そして、帝王切開は腹部と子宮壁を切開するため、傷ができます。帝王切開をする人は、後陣痛に加え、傷の痛みもあります。同じ腹部の痛みなので、どちらの痛みなのかをはっきりと判別するのは難しいです。しかしながら、どちらの痛みも出産直後・翌日あたりが強く、それ以降は段々とおさまっていくので安心してください。
後陣痛は大きくなった子宮が収縮する際に発生する痛みです。そのため、痛みのピークは出産直後から翌日あたりです。また、出産によって子宮内の胎盤や卵膜が剥がれてしまうことで発生する出血を止めるためにも子宮は収縮します。基本的には出血を止めるために強い収縮が起きると説明しましたが、実は授乳中にも痛みが出ることがあります。これは、授乳中に分泌されるホルモンによるものです。オキシトシンと呼ばれるホルモンで、授乳によって分泌が促され、子宮の収縮も進みます。一見、関係ないと思われる授乳という行為が実は深く関係しているのです。
後陣痛は赤ちゃんが入っていた子宮を収縮させるために起こるので、どうしても避けることはできません。むしろ、子宮が元の状態へ戻ろうとしている証拠なので、必要な痛みということもできるかもしれません。しかしながら、痛みは痛み。できれば痛みを軽くしたいと考えるのが普通です。後陣痛への対処方法はいくつかあり、その内の1つが楽な姿勢を取ることです。出産前の陣痛の際にも体勢を変えて、痛みが和らぐようにした人も多いでしょう。後陣痛も同じ子宮の痛みなので、自分の楽な姿勢・体勢があります。入院中であれば、ベッドの上で取りやすい体勢を探してみるのが良いでしょう。
お腹を圧迫するのも後陣痛を和らげるのに有効と言われています。子宮が収縮するのを助ける適当な圧力があるようです。しかし、圧力といってもかけ過ぎは体にも良くありません。さらしや腹帯、またはクッションを抱えるといった方法で圧力をかけるのが良いでしょう。また、どのような形で圧力をかけるべきかはしっかりと医師や助産師さんに相談しましょう。くれぐれも体に負担をかけるような方法での圧迫は避けてください。
体を温める方法、体をほぐす方法も後陣痛を和らげる効果があると言われています。個人差があり、必ず効果があるというわけではないため、自分に効く方法を見つけてください。まず、体を温める方法ですが、お腹の周りを温めることで子宮周りの血行を良くし、痛みを和らげることができると考えられています。手っ取り早い方法は、カイロや腹巻などを使ってお腹を温めるやり方です。湯たんぽや毛布などでも良いでしょう。但し、過度に温めるのも体に負担をかけてしまう可能性もあるので、医師や助産師さんに相談が必要です。次に、体をほぐす方法ですが、こちらもお腹を中心とした体の血行を良くし、痛みを和らげることができると考えられています。体をほぐすためにはマッサージを行うのが良いですが、やりすぎは体に負担をかけてしまう可能性もあります。医師や助産師さんに相談し、家族に協力してもらうのが良いでしょう。
気にしすぎないというのも1つの方法です。これは精神論とも言えるかもしれませんが、入院中はあまり動き回ることもできないため、痛みに集中してしまいがちです。痛みは集中することでより感じやすくなってしまいます。可能な限り、落ち着いてリラックスできるように環境を整え、後陣痛を気にしすぎないというのも効果があるでしょう。
前述の通り、後陣痛は大きくなった子宮が元のサイズ・状態に戻るために収縮することで起こります。そのため、避けることはできません。通常は3~4日で痛みが和らいでいきますが、授乳などで再び痛みが出てくる場合もあります。痛みがずっと続く場合、または耐えられない痛みがある場合は、医師や助産師さんに相談して下さい。鎮痛剤などを使うというのも1つの手段です。授乳中であっても影響のないような鎮痛剤もあり、状況によっては使用も可能です。また、しっかりと医師や助産師さんに状況を伝えることで、子宮を元に戻すために投与する子宮収縮剤を使わないという選択肢を取ることもあります。痛みが想定よりも長引く場合、痛みが強すぎる場合は相談が大事です。
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