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出産について調べていると、経産婦からの話で出てくるのが会陰切開(えいんせっかい)。会陰切開を行う必要のあるケースや痛み、手術の流れについて紹介します。
自分の体でも見えにくい会陰は、肛門と腟(外陰部)の間にあります。お腹が大きくなる前なら、鏡を使って見ることができるかもしれません。ひだになっていて、伸縮性が高いのが特徴です。
会陰切開は赤ちゃんが腟を通って出てくる前に会陰を切開しておくことで、出産時に腟や会陰が裂けるのを防ぐ目的のある手術です。会陰切開をしなくても、会陰がうまく伸びて軽度の裂傷で出産できることもありますし、反対に会陰切開をしないで重度の裂傷になってしまうこともあります。
出産時に会陰の状態を見て、その場で医師が判断して切開することが多いですが、吸引器を用いて行われる吸引分娩やハサミのような形をした鉗子(かんし)を用いて行われる鉗子分娩の際には、あらかじめ会陰切開をしてから出産します。
出産がスムーズに進むかどうかや出産後の会陰の裂傷度合いや回復スピードを考えて、会陰切開を行います。
会陰切開をするのかしないのかは、実は判断しにくいものと言われています。会陰の裂傷度合いによっては、会陰切開をして縫合するよりも会陰切開をしないで自然治癒したほうが早く回復するケースもあるためです。また、会陰切開をしないで重度の会陰裂傷状態になってしまうと、肛門の筋肉にも影響が出てしまい排便がしにくくなるなどの影響が出てしまうことも。
会陰切開を行ったり、裂傷や切開後の縫合をしたりする判断材料となるのが会陰裂傷の度合いです。
会陰裂傷の度合いが第三度以上になると、便失禁や子宮が下がってしまう子宮下垂、子宮が下がりすぎて腟から出てきてしまう子宮脱のリスクもあります。
会陰切開を行い縫合した場合の痛みについて、トイレに行くのがつらいと感じるほどの痛みは一週間程度で落ち着き、痛みが治まるまでは一か月ほど続くケースが多いようです(個人差があります)。縫合した部分に細菌感染などが起こってしまうと別の痛みが出てしまうため、できるだけ安静に縫合部分を清潔にして過ごすのがよいでしょう。
また、縫合は吸収糸と呼ばれる自然に溶けていく糸で行われます。糸は使用したものによって変わりますが、だいたい半年から一年かけて徐々に溶けていきます。そのころには傷跡も目立たなくなってくるでしょう。傷跡が早く回復している場合には抜糸を行うこともあります。
会陰切開が必要と医師が判断するケースは大きく分けて3つです。
会陰の伸びが悪く裂傷が重度になると判断した場合や、お産がスムーズに進まずに母体や赤ちゃんの体力が持たないと危惧される場合などは、緊急で会陰切開を行います。
また、吸引分娩や低体重児とあらかじめわかっている場合、赤ちゃんの頭部に疾患がみられる場合などは計画的に会陰切開を行います。
会陰裂傷をひどくさせたくない方は、担当医と会陰マッサージについて話し合ってみるのもよいでしょう。切迫早産や切迫流産があるなど会陰マッサージをおすすめされない例もあるため、必ず確認してから行ってください。
会陰切開の流れは以下のとおり。
計画的に会陰切開をするケースでは、同意書にサインをします。分娩するクリニックによって異なりますが、出産前にあらかじめ緊急で会陰切開を行う可能性がある点を説明してくれるところもありますし、同意書にサインをするところもあります。
会陰切開を行う際は、無痛分娩の場合や緊急性の高い場合は局所麻酔をせずに切開をします。陣痛の痛みがピークに近い場合、切開の痛みが感じにくくなることが多いからです。それ以外では局所麻酔をしてから行います。
会陰切開や縫合は基本的に医師が行うこととなっています。傷口の経過観察や抜糸も医師が行います。なかなか痛みが引かない場合、いつも感じている痛みと様子が変わってきた場合などは医師に相談しましょう。
会陰切開は出産の介助にあたるため、保険適用外のケースが多いです。計画的に会陰切開を行う場合は介助ではないため、医療措置と判断し保険適用となります。また、保険適用となるケースでは、医療保険の給付金対象となることもあるため、出産前に確認しておくとよいでしょう。
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