公開日: |更新日:
貧血や便秘などと並んで、むくみは妊娠中に起こりやすいマイナートラブルです。むくみの原因は食生活にあったりホルモンバランスにあったりなどさまざま。以下ではむくみの原因とその対策方法について紹介します。
体に余分な水分が溜まり、血液が薄まった状態を指すむくみ。血液の中にある水分が血管の外へ出てしまい、細胞の外に蓄積されてしまっています。通常であれば細胞内外の水分バランスは保たれていますが、むくみを引き起こしているときは細胞外の水分の方が多くなりバランスが崩れています。
なお、むくみを引き起こす原因はさまざまであり、長時間同じ姿勢でいたり、塩分を摂取しすぎたりするのがその一例です。しかし、妊婦さんの場合は体の変化に起因していることが多く、足や足首、足、顔や手が見えたとしても、それは体液を貯蓄しているからです。体液を貯蓄し水分を体が保持するのはホルモン分泌を増やすためであり、体がむくむのは出産時の出血に備え体が働いている証拠です。妊婦さんのむくみはほとんどの場合が一時的なものであり、出産後に解消されます。とりわけ臨月の妊婦さんはむくみに悩む方が多いですが、常生活に支障をきたすほどでなければ、心配しなくて良いでしょう。
むくみは血液の循環が悪くなると生じる現象なので、長時間同じ姿勢でいる妊婦さんはむくみやすいです。例えばデスクワークをしている妊婦さんや立ち仕事などをしている妊婦さんが該当します。他にも、冷え性の妊婦さんや運動不足の妊婦さん、高齢の妊婦さんもむくみやすいです。上記の妊婦さんたちは身体機能が低下しているため、体に溜まった水分を上手く逃がすことができません。一方で日ごろから運動が習慣として根付いている妊婦さんはむくみにくい傾向にあるようです。
最近の妊婦さんは栄養が偏っている人が多く、医者から貧血気味だと指摘される人も多いでしょう。食生活の方よりはむくみの原因になります。逆に塩分過多、食物繊維不足、鉄分不足などに気つけることはむくみ対策として効果的です。
一日の塩分摂取量は6.5g未満が適切だとされています。塩分を過剰に摂取すると体は塩分濃度を下げようと水分を溜め込みます。妊婦さんのからだはただでさえむくみやすくなっているので、インスタント食品やお惣菜など、塩分の高い食事はできるだけ避けましょう。
カリウムには体内に含まれている塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。カリウムの摂取量に上限はないので、1日にどれだけ食べても体に悪い影響はありません。腎臓系の持病がある方の場合は別ですが、そうでない方は積極的に食事に取り入れると良いでしょう。カリウムは野菜や果物、イモ類、大豆製品などに含まれています。水に溶けやすい性質があるので、スープにしたり煮物にしたりして食べるのがおすすめです。
むくみやすいからといって水分を控える必要はありません。むしろ水分補給は積極的に行った方が良いです。持病があって制限を余儀なくされているわけでない限り、1日1.5リットル程度飲むのが適切です。水分を補給すると血液のめぐりが促進されるだけでなく、脱水症状になるリスクも低くなります。こまめに水分補給をするよう心がけましょう。
軽く身体を動かすことも、むくみの解消に効果的です。妊婦体操やストレッチ、軽い散歩がおすすめです。決して無理はせず、体調が悪くなったりお腹の張りを感じたりしたら、すぐに休んでください。
自分でマッサージをすることで、むくみとそれに伴う痛みや不快感を軽減することができます。足のくるぶしから太ももを手でゆっくりさするマッサージは、リンパを流して血流をよくすることができ、むくみ解消に効果的です。ただし、セルフマッサージによるむくみ解消に持続性はあまりないので、あくまでも一時的な対処として覚えておきましょう。
湯船にゆったりつかることで全身の血行がよくなり、むくみが和らぎます。38度から40度くらいのぬるめのお湯に15分ほどつかると、身体の芯から温まって、リラックス効果も期待できます。特に足のむくみがひどい場合には、足湯をするのも効果的でしょう。
睡眠不足がむくみに繋がっている可能性もあります。睡眠不足はホルモン異常を引き起こし、身体に悪影響を及ぼすため、昼寝なども試しながら十分な睡眠時間を確保しましょう。つわりや腰痛などで眠れない場合は、抱きまくらを活用して楽な姿勢を取ってみてください。その際、身体の右側にある大静脈を圧迫するとむくんでしまうため、左側を下にして寝るのがおすすめです。
足がむくんでパンパンになっている場合、足元に枕などを置き、少し高くして寝ることをおすすめします。足を高くすることで、足にたまった血液やリンパ液を身体の中心部に戻すことができます。
むくみに効くツボを知ってこまめに押すことで、手軽にむくみの解消ができます。 膝と足首の中間で、脛の少し外側にある豊隆(ほうりゅう)や、足の親指と人差し指の間を辿って骨が交わった部分の前にあるへこんだ部分の太衝(たいしょう)は、足のむくみに効果的といわれています。他にもむくみに効くといわれているツボはさまざまにあるので、自分にあったものを探してみてください。
足のむくみに悩んでいる妊婦さんは、着圧ソックスを使ってみてはいかがでしょうか。着圧ソックスは足に適度な圧力をかけ、筋肉が血液を押し戻す働きをサポートしてくれます。着圧が比較的弱いマタニティ用を選びましょう。
妊娠中に起こるむくみのほとんどは生理的なもので、特に心配はいりません。しかし、まれに「妊娠高血圧症候群」という病気が原因で起こるむくみもあります。
妊娠高血圧症候群は、元々高血圧ではなかった人が妊娠中に高血圧になってしまう病気です。この病気は妊娠前の血圧に関係なく誰でも起こりうるもので、妊婦さんとお腹の赤ちゃんに危険をもたらします。血圧が140/90mmHg以上の妊婦さんは妊娠高血圧症候群の疑いがあるため、速やかに医師に相談してください。日々の食生活では塩分を控えめにし、水分を十分摂るようにしてください。
参照元:NIPT Japan(https://niptjapan.com/column/pih/)
普段であれば、そのときにとっている姿勢によってむくみの位置が変化します。一方、妊娠高血圧症候群の場合、片方の脚やふくらはぎにのみむくみが生じ、だんだんとひどくなっていきます。足を高くしても改善されず、その部位が熱をもったり痛くなったりする場合も。また、妊娠高血圧症候群によるむくみを指で押すと、はっきりとしたあとが残るのも特徴です。足のむくみ以外に、急激な体重増加、錯乱、けいれん、急な腹痛、ひどい頭痛、目のかすみなどが起こることもあります。これらの症状に心当たりがある場合は、妊娠高血圧症候群を疑い、直ちにかかりつけの産婦人科医に相談してください。
ここまで妊娠中のむくみについて解説してきました。出産を終えたら、むくみは自然とおさまっていくことがほとんどです。ただ、お産で出血が多かった場合は、一時的な貧血が原因でむくむこともあります。これは数日で治るため、心配は不要です。また、お産に関係なく、赤ちゃんに授乳する際の猫背が原因でむくむ人もいます。姿勢に気をつけて、妊娠中に行っていたむくみ対策を引き続き行うことで、大抵のむくみは解消されるでしょう。
妊娠初期はまだお腹は目立ちませんが、身体がふっくらと丸みをおびてくるため、これまで付けていた下着や靴がきつくなってくる場合があります。合わない下着や靴を無理に着用していると、血行が悪くなり、それがむくみに繋がってしまいます。ゆったりとしたマタニティ用の下着や履きやすい靴を着用し、着圧ソックス以外の身体を締め付ける服は着ないようにしましょう。
お腹が大きくなってくると、お腹を突き出した格好で歩いてしまいがち。この姿勢は腰痛や血行不良をもたらし、下半身のむくみに繋がります。鏡を見たり、家族に姿勢をチェックしてもらったりして、正しい姿勢をこころがけましょう。また、妊娠後期になると子宮が大きくなるため、足から心臓へ流れる血液が戻りにくくなって足に血液が溜まりやすくなります。これもむくみの原因の一つです。
妊娠中は、ホルモンバランスの変化や食生活・姿勢の変化などが原因でむくみが生じやすいです。上記に挙げた対処法を参考に、自分にあったむくみ対策を見つけましょう。大抵のむくみは生理的なもので、出産を終えたら自然とおさまっていきます。しかし、まれに「妊娠高血圧症候群」といった、妊婦やお腹の子にとって危険な病気が原因のむくみもあります。違和感を感じる場合はすぐに医師に相談し、指示を仰ぐようにしてください。
横浜市の先輩ママに聞いた!
分娩・産院の満足ポイント