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ここでは、2018年7月に神奈川県初の試みとして、横浜市でスタートした新生児聴覚検査の費用助成について、まとめて解説しています。
新生児聴覚検査(新生児聴覚スクリーニング)とは、言葉を話せない赤ちゃんのために、コンピュータを使って音を聞いた際の肉体的反応を調べて、聴覚の異常の有無を調べる検査方法です。聴覚の異常の有無は、その後の言語機能の発達においてとても重要なポイントになるため、可能な限り早期に検査をしておくことが望ましいといえるでしょう。
新生児聴覚検査の種類としては、大きく2つの方法があります。
1つは、「自動ABR(自動聴性脳幹反応)」と呼ばれるもので、35dbというささやき声程度の音を眠っている状態の赤ちゃんに聞かせて、音に反応して発せられる脳の電気信号を確認する方法です。小さな音に対する反応を検査できるため、軽度の難聴であっても確認できる聴覚検査となっています。 もう1つは、「耳音響放射(OAE)」と呼ばれる方法です。人の耳には、外から音が入ってきた際に、それに反射するように音を外へ発する仕組みがあり、OAEでは耳へ入れた音に対する反応音を確かめます。この検査によって反応が確認された場合、少なくとも40db以上の音は聞き取れる聴力があるとされています。
自動ABRであっても、OAEであっても、赤ちゃんが痛みを感じることや肉体に対する危険性などはなく、検査時間も数分で終了することが特徴です。 その反面、検査は赤ちゃんが安静に眠っている間に行わなければなりません。
横浜市では、2018年7月1日に神奈川県の自治体として初めて、新生児聴覚検査に対する費用助成が行われました。
横浜市では、自動ABR検査に対して3,000円、OAE検査に対して1,500円が助成されます。なお、実際の検査費は医療機関によって異なりますが、一般的に3,000~8,000円とされています。
※参照元:タウンニュース(https://www.townnews.co.jp/0102/2018/07/12/439792.html)
自動ABRもOAEも同様に、新生児聴覚検査はあくまでも簡易的な検査でしかありません
そのため、新生児聴覚検査で正常と確認できなかった場合、「要再検(リファー)」と診断されますが、それは必ずしも「異常がある」とは限らない点も覚えておきましょう。
一方、自動ABRやOAEによって正常な反応が確認された場合、それは赤ちゃんの脳へ音の刺激が届いているということであり、基本的には「問題なし」として判断されます。
一般的に、新生児聴覚検査は赤ちゃんが眠っている間に行わなければならない検査であるため、生後すぐの、まだ母子が入院中に実施することが効率的とされています。なお、入院中に検査を実施できなかった場合、退院後1ヶ月健診までに、新生児聴覚検査を受けることが望ましいとされています。
また、もしも赤ちゃんの聴力に問題があった場合、その後の支援・療育は生後6ヶ月までに開始されることが良い対応です。そのため、万が一に精密検査を行わなければならない可能性やスケジュールも考慮すると、できる限り早い段階で新生児聴覚検査を受けることが大切です。
横浜市では、市内に住民票のある人が、2018年7月1日以降に出生した新生児か、もしくは市内に住民票のある生後60日以内の乳児が、生後60日までに受けた検査が助成対象となっています。
費用の助成を受ける手順としては、母子手帳の交付時にもらえる補助券を、検査を受ける市内の指定医療機関に提出することで、検査費用から助成額が差し引かれる仕組みになっています。
新生児聴覚検査で要再検となっても、必ずしも難聴であるとは限りません。また、難聴にも様々な程度があります。ただし、もしも聴力に異常があった場合、生後6ヶ月までに早期支援(療育)を開始することが必要なため、新生児聴覚検査で要再検となった際は、医師による精密検査を速やかに受けることが必要です。
新生児聴覚検査で異常が発見された後、早期療育を受けた児童が健聴児と変わらないレベルの言語力を獲得したというケースも報告されています。大切なことは、早期発見・早期療育開始であることを覚えておいてください。
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