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多胎妊娠とは二人以上の胎児を同時に妊娠している状態のことです。多胎妊娠にはリスクもあり、経済的・精神的負担も大きくなってしまうでしょう。このページでは多胎妊娠の分類や知ってほしいポイントなどを分かりやすく解説します。
同時に2人以上の胎児を妊娠することを「多胎妊娠」と言い、双子や三つ子などのことです。双子の場合は双胎妊娠と呼び、一卵性双胎・二卵性双胎があります。さらに分裂の時期によって二絨毛膜二羊膜・一絨毛膜二羊膜・一絨毛膜一羊膜に分類され、リスクなども異なってくるでしょう。
厚生労働省の報告によると双胎妊娠の割合は2005年に1.18%、2011年に0.96%、2017年に1.04%となっています。また多胎児の割合は母体の年齢別にみると、30歳以上で2.0%を超え、40~44歳で2.71%、45歳以上で5.95%です。
多胎妊娠が分かるのは、妊婦健診のエコー検査のタイミングで確認できます。ただし一卵性双胎なのか、二卵性双胎なのかによっても判別時期が異なるので注意が必要です。
二卵性双胎であれば2個の胎嚢があるためエコー検査でスグに確認できるでしょう。個人差はありますが、妊娠5~6週ごろには2つの胎嚢、7~8週ごろに2人の胎児を確認できます。
一方、一卵性双胎の場合はDD双胎なら胎嚢が2つあるのでエコー検査で確認でき、二卵性双胎と同様に妊娠5~6週ごろに2つの胎嚢、7~8週ごろに2人の胎児を確認できるでしょう。しかしMD双胎やMM双胎であれば胎嚢が1つのため、エコーだけでは双子かどうかの判断が難しいケースもあります。そのため心拍が聞こえてくる6~7週目以降の心拍で双子かどうかを判断できるでしょう。
多胎妊娠と言っても、受精卵の数や絨毛膜の数によって分類されます。分類の違いによって特徴やリスクなどが変わってくるので注意が必要です。
まず多胎妊娠の場合、受精卵の数で分類されます。何らかの要因によって、ひとつの受精卵が複数に分かれて成長していくケースを「一卵性」、二つ以上の卵子が排卵されて、それぞれが別々に受精・着床して成長するケースを「多卵性」です。多卵性の中で、二つの卵子と二つの精子が受精・着床したケースを「二卵性」と呼びます。
一卵性であれば赤ちゃんの遺伝子・血液型・性別は同じとなり、容姿もそっくりになることがほとんどです。一方の二卵性であれば遺伝子は異なるため、性別・血液型も違う可能性があり、容姿も変わってくるでしょう。つまり二卵性であれば、男女の双子もあり得るのです。
母親によっては卵性の違いが気になるかもしれませんが、実は妊娠のリスクや管理方法などは膜性の違いが重要となります。
多胎妊娠のリスクなどを左右する重要なポイントが膜性の違いです。膜性とは絨毛膜の数のことで、胎盤の数と考えて大丈夫でしょう。つまり胎児が胎盤や羊膜を共有しているかどうかによって分類されます。
上記のように分類され、一卵性双胎の場合は全てのケースが起こり得ます。二卵性双胎の場合は原則的に二絨毛膜二羊膜(DD双胎)です。二絨毛膜二羊膜だと胎嚢がふたつあるため、エコー検査にて妊娠5週目ごろより確認できるでしょう。しかし一絨毛膜二羊膜や一絨毛膜一羊膜だと胎嚢が一つのため、妊娠6週ごろに判別され、しっかりと区別されるのは少し遅い時期になります。
多胎妊娠ならではの苦労や不安事があるのも事実です。そのため事前に把握しておくことで、ゆとりを持って準備ができるでしょう。ここでは知っておいてほしいポイントを具体的に紹介します。
多胎児の妊娠にはリスクも伴うため、どこの産科でも対応できるわけではなく、対応可能な産科が限定されるので注意が必要です。そのため希望する産科では断られるケースもあるでしょう。しかし多胎妊娠に対応が豊富な産科であれば多胎児を持つ家庭に向けての教室やサークルなどを開催している場合も多く、多胎児ママ同士の交流も図れるというメリットもあります。
単胎児と比較すれば、多胎妊娠の方が胎児の体が小さい傾向にあり、胎児によっても大きさに差が生じることもあります。また多胎児の方が小さく生まれることもあり、胎児・赤ちゃんの発育を不安視する方もいるでしょう。しかし出産後の発育は単胎児も多胎児もほとんど変わらないとされており、3歳~6歳ほどで体の大きさも単胎児に追いつくと言われています。そのため長い目で成長を見守ることが大切です。
多胎児の出産・育児だと経済的負担が大きくなってしまうでしょう。ミルク・オムツ・肌着などの準備する品物が単胎児よりも2倍必要となります。また外出機会が増えれば多胎児専用のベビーカーなどの育児グッズの準備もしなければなりません。沢山の育児用品を揃えることで、多額の費用が掛かってしまいます。ただ自治体によっては多胎児家庭向けの費用補助制度や洋服・育児グッズのリサイクルなどを実施している場合もあるので、そういったサービスを上手く活用することが大切です。
多胎妊娠と単体妊娠では産休期間や出産時期、検診費用、入院期間などで違いが生じることもあります。ここでは、それぞれの違いを具体的にみていきましょう。
労働基準法の第65条に基づき、単胎妊娠では6週間前からですが、多胎妊娠であれば産前休暇を出産の予定日の14週間前から取得可能です。つまり単胎妊娠と比べれば、2か月ほど早く産前休暇に入れます。
多胎妊娠で重要なことは早産を防止することで、双胎妊娠であれば妊娠37週前後に出産のタイミングを設定するケースが多いでしょう。出産の方法は帝王切開をはじめから選択する場合もありますが、胎児が逆子でなくリスクも少ないのであれば経腟分娩を行う医療機関もあるようです。そのため希望する出産方法があれば、前もって相談しておきましょう。ただし状況によっては経腟分娩を希望していても、帝王切開となる場合もあります。
多胎妊娠であれば妊婦健診を受ける回数が単胎妊娠よりも増えてしまうため、検診費用も割高になってしまいます。また早産のリスクも高く、入院費が多く発生するケースもあるでしょう。さらに複数の赤ちゃんを出産することで、分娩にかかる費用も高くなりがちです。
ただ出産育児一時金は2人分受け取ることができ、早期入院や手術が必要となった場合は限度額適用認定証を申請し、窓口での負担を減らせます。条件に当てはまる場合には、必ず申請を行いましょう。そのため経済的負担は大きいですが、その分戻ってくる金額も単胎妊娠よりは多い可能性が高いです。自治体の補助金などを受け取れるケースもあるので、自治体や医療機関で費用面の相談をしましょう。
単胎妊娠では状況さえ安定していれば、長期入院を強いられることはほとんどありません。しかし多胎妊娠の場合、妊娠の経過次第で24週~26週ごろに管理入院を実施し、栄養の摂取、早産・妊娠高血圧症候群などの予防のための処置を行うケースもあります。もちろん一旦退院になることもありますが、状態によっては継続して入院するケースや、再度28週ごろに管理入院となるケースなど様々なケースがあるでしょう。
ただ産後の入院期間は単胎妊娠とほとんど変わらず、経腟分娩なら1週間程度、帝王切開なら10日~14日間程度で退院となります。
多胎妊娠だと経済的・精神的負担が大きく、様々なリスクも伴うでしょう。しかし二人同時に授かることの喜びもあります。そのため医師・看護師・助産師・家族などのサポートを受けながら、出産の日を安心して迎えられるように準備しておきましょう。
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