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水中分娩について

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このページでは、分娩方法のひとつである水中分娩について解説しています。どのような出産方法なのか、またメリットやリスクなどについても触れていますので、出産方法を検討している方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

水中分娩とは?

水中分娩とは専用の温水プールや浴室など、水の中で出産を行う方法です。水が持つ特性を生かした分娩方法として、ヨーロッパを中心に行われている分娩方法です。

分娩開始から出産まで水中で行う施設や、分娩開始から子宮口が全開になるまでの期間は水中で過ごし、その後は別の方法で出産する施設など、そのやり方は施設によってさまざま。出産まで水中で行う施設の場合、パパも水着でプールに入り、出産の瞬間に立ち会える施設もあります。

水中分娩の流れ

水中分娩の流れは施設によってさまざまですが、その中の一例をご紹介します。

まず、陣痛が始まったらお湯の温度を36.5〜37℃程度に設定したプールに入ります。その後はママのペースで分娩を進めていきます。出産後は、プール内で赤ちゃんをママのお腹や胸に抱かせます。その後プールから出て布団で休む、という流れとなります。

水中に滞在する時間は長くても2時間ほど。また、お湯に入ってからはまめな水分補給が必要です。

水中分娩のメリット・リスク

水中分娩を検討する上では、当然メリットを知っておくべきですが、リスクについても知っておく必要があります。その両面を知った上で、水中分娩を行うかどうかを考えてみましょう。

ママにとってのメリット

水中分娩を行う場合、ママにとっては下記のようなメリットがある、とされています。

  • お湯に浸かることによる鎮痛効果やリラックス効果
  • 重力の影響を受けにくいため、自由に楽な体位が取れる
  • 生まれた赤ちゃんをすぐに抱ける

この中でもよく注目されるのは、「鎮痛効果」の部分ではないでしょうか。水中分娩を経験した方の中には、「あたたかい浴槽の中に入った時に体が緩んで、陣痛の痛みが一気に楽になった」という感想を寄せている方もいます。

実際に子宮口が全開になるまでの水中分娩においては、硬膜外麻酔の使用を減らす可能性が示唆されている研究結果もあるようです。

赤ちゃんにとってのメリット

ママにとって水中分娩はメリットがある可能性が示されていますが、ここで気になるのは赤ちゃんにとってメリットがあるのかどうか、という点。この点については「まだよくわかっていない」というのが現状のようです。

リスクと注意点

水中分娩を行う場合、そのリスクについても考えておく必要があります。感染症情報センターによると、自宅の24時間風呂にて行われた水中分娩後、新生児がレジオネラ肺炎を発症して死亡した例が報告されています。

この例では出産後に新生児に問題がないことを確認していましたが、日齢4に黄疸と発熱の症状、その後日齢7に再度発熱。日齢8には解熱したものの同日午後に心肺停止となり、緊急外来で死亡が確認されたものです。

その後行われた病理解剖の結果から、新生児はレジオネラ肺炎により死亡したと判断されました。この例より、「24時間風呂は生物浄化を導入しているので、風呂水からは相当数の細菌が検出されることが多い。24時間風呂での水中分娩にはレジオネラ感染症に限らず、細菌感染症を引き起こす危険性がある。」と結論づけています。

参照元:感染症情報センター「24時間風呂での水中分娩後発症した新生児レジオネラ肺炎の1例」
http://idsc.nih.go.jp/iasr/21/247/dj2474.html

水中分娩に対する米国産科婦人科学会の勧告

続いて、米国産婦人科学会(ACOG)が発表した水中分娩に関する勧告について紹介します。

2016年10月24日、米国産婦人科学会では、水中分娩は新生児に深刻な健康上のリスクをもたらすという理由から、出産は陸上で行うべき、との勧告を行いました。

この改訂委員会声明(Committee Opinion)では、分娩第1期(分娩開始から子宮口全開大までの期間)では水中分娩のメリットを認めているものの、分娩第2期(子宮口全開大から胎児娩出までの期間)では、安全性や有効性、母体や新生児に対する利点はいずれも証明されていない、としています。

このことから、「陣痛時を水中で過ごすことと水中で出産することを区別することが重要。水中での出産が新生児に利点があることを裏付けるエビデンスはない」という考えが示されており、水中分娩に対するエビデンスが確立されるまでは、出産は地上で行うべきである、と結論づけています。

引用元:m3.com「学会「出産は陸上で」【米国産婦人科学会】」
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/475216/

水中分娩ができるママの条件とは?

水中分娩を行うためには、さまざまな条件をクリアする必要があります。例えば下記のような条件が挙げられています。

  • ママも赤ちゃんも健康である
  • 妊娠の経過が良好であり、早産ではない
  • 胎児の推定体重が2,500g以上(低出生体重児にあたらない)
  • 胎児の心拍に異常がない

このような条件が挙げられますが、施設によって条件が異なります。そのため自分が出産を希望する施設での確認が必要です。また、長時間湯船に浸かっていて気分が悪くなりやすい場合には、水中分娩は向かないといえるでしょう。

産院・施設選びのポイント

水中分娩を考えている方が産院や施設を選ぶポイントについてご紹介します。いくつかのポイントがあるものの、大切なのは「必ず事前に確認を行う」という点。気になる施設がある場合には、まず事前に問い合わせを行い、見学を申し込みましょう。見学会や説明会を行っていないか確認してみるのもおすすめです。

確認しておきたいポイントは下記の通りです。

  • 過去の水中分娩の実績(トラブル事例があればそちらも確認する)
  • 使用するプールや浴槽、周囲の清掃や消毒方法と頻度
  • プールや浴槽を使用していないときは乾燥させているかどうか
  • 水温の管理方法
  • 水中分娩から通常分娩への切り替えの判断基準と流れ
  • 緊急時の対応について
  • 水中分娩の費用

見学する際には、掃除や整理整頓の様子、スタッフの雰囲気などをチェックするのも大切。また、水中分娩のリスクや万が一の対応についてもしっかりと説明してくれるところを選びましょう。

まとめ

分娩方法のひとつ、水中分娩についてご紹介してきました。もし水中分娩を希望する場合には、メリットだけではなくリスクまで含めた上で検討を行うことが必要です。また、出産したいと考えている産院や施設などを見学した上で、水中分娩をするかどうかをしっかりと考えると良いでしょう。

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