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自身のキャリアを考えた結果卵子凍結をするケースも出てきている昨今。妊娠出産の願望はあるけれど、卵子凍結は選択していいものなのか迷いますよね。ここでは、卵子凍結とは何なのか、妊活に向いているのかを紹介します。
卵巣から未受精の卵子を取り出して凍結させ、将来の妊娠のために保存することを卵子凍結(未受精卵凍結)といいます。
卵子凍結に踏み切る人の例として、治療により卵巣機能が低下する恐れのある人が挙げられます。ほかに、加齢による生殖機能の低下に備えて卵子凍結をする人も。
妊娠率は28歳をピークに、そこから徐々に低下していくというデータがあります。卵子凍結は凍結をした年齢の妊娠率を維持できると期待されているため、治療による卵巣機能低下以外に加齢による生殖機能の低下に対して凍結を考える人もいるようです。
未受精卵を凍結させる卵子凍結と区別して、受精卵凍結というものがあります。こちらは細胞分裂が行われたことを確認した受精卵を冷凍保存するものです。不妊治療のひとつである体外受精の際に行われます。ほかにも、加齢による生殖機能低下に備えて事実婚カップルや現時点では子供を望んでいない夫婦などが受精卵凍結を選択するケースもあります。
受精卵凍結ではなく、卵子凍結と精子凍結をすることも可能ですが、凍結させた卵子と精子を受精させるよりも受精卵を凍結するほうが妊娠率が高くなります。将来子供を望んでいる場合は、パートナーとどちらを選択するか話し合ってもよいでしょう。
参照:日本産科婦人科学会|2018 JSOG-ART公開用[PDF](https://www.jsog.or.jp/activity/art/2018data_20201001.pdf)
卵子凍結は、凍結した年齢の若いほうが少ない卵子で妊娠につながるケースが多いとされています。
36歳以上の場合、20個の卵子を凍結したとしても一人出産できる推測割合が49.6%。それ以上を冷凍しても出産できる割合は変わらないとされています。
そのため、卵子凍結の推奨年齢は40歳以下と言われています。
卵子を採卵する前に、月経前のタイミングで何か病気などにかかっていないかをスクリーニング検査します。月経が始まったら3日以内に病院へ行き、排卵を誘発するHMG注射を10日間自己注射します(病院で注射するケースも)。その後、採卵日を決めて卵子を取り出します(HMGアンタゴニスト法の場合)。卵子は腟側から注射で取り出します。
参照:亀田IVFクリニック幕張|ノンメディカルな(社会的)卵子凍結 (https://medical.kameda.com/ivf/patient/egg_freezing/)
妊娠率の高い卵子を保管できることから、健康な若い女性が将来を考えて卵子凍結させたいと考えることもあるでしょう。しかし、日本産婦人科学会の見解では、医学的に卵子凍結の必要性がない場合は推奨しないと発表しています。
理由は、卵子凍結を選択するよりも受精卵凍結のほうが妊娠の確率が高いことが挙げられます。また、卵子を取り出す際に排卵を促す誘発剤を使用するため、体へ負担がかかってしまいます。加えて、解凍後に卵子を体に戻す際、妊娠年齢が上がることによる合併症のリスクも高まります。
ノンメディカルな卵子凍結は、悪性腫瘍があるなどの医学的な理由があり卵子凍結をするメディカル卵子凍結に対し、加齢による生殖機能の低下や将来の出産に備えて卵子を保存したいといった社会的な理由で行う卵子凍結のことを指します。
決まったパートナーがいる場合は、妊娠率の高い受精卵凍結を選択する方法もありますが、今は仕事を頑張りたいなどの理由でパートナーがいない状態で卵子のみを凍結させます。
精子は思春期以降から作られるものですが、卵子は女性が胎児の段階で作られ、思春期から排出されるようになります。作られてから排出するまでの期間が短い精子に比べ、卵子は女性の年齢とともに質や量が変化していきます。年齢を重ねれば、そのぶん卵子の量は減りますし、妊娠しにくい状態になってしまいます。
一見するとメリットの多いように見えるノンメディカルな卵子凍結。しかし、日本産婦人科学会が健康な若い女性の卵子凍結を推奨していません。次のようなデメリットがあるためです。
ノンメディカルな卵子凍結が推奨されない理由のひとつとして、妊娠出産率の低さが挙げられます。受精卵が細胞分裂をして胚になってから凍結する受精卵凍結と違い、ノンメディカルな卵子凍結は解凍後に精子と受精し受精卵になる第一段階、細胞分裂が正常に行われる第二段階、子宮に戻して正常に成長していく第三段階と工程が多くなります。そのため、最終的な出産率が低くなってしまうのです。
また、ノンメディカルな卵子凍結は、妊娠率の高い卵子を保存するのが目的ですが、母体は保存できないため加齢による子宮筋腫などのリスクは避けられません。
うまく卵子凍結から妊娠・出産につながっても、胎児の生育不良があったり、出産時の子宮の収縮が悪く出血多量となったりする可能性があります。
参照:日本産科婦人科学会(https://www.jsog.or.jp/modules/committee/index.php?content_id=302)
卵子凍結はガン治療などを行う方、子宮の病気などの直接的に生殖機能の低下が考えられる病気に罹患した方に向けた治療方法。
将来の妊娠のしやすさなどを重視したノンメディカルな卵子凍結は、慎重に考えて決めることをおすすめします。
卵子凍結をする費用がかかるのはもちろんのこと、卵子は妊娠しやすい状態で保管できたとしても母体は加齢により妊娠しにくい体になっていくこと、妊娠出産時の病気のリスクが高くなっていくことなどデメリットもあります。
ノンメディカルな卵子凍結を行うべきかどうか、担当の医師と相談して将来の出産について考えるのがいいでしょう。
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