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もし妊婦が感染症に罹ってしまえば、母体だけでなく胎児にも影響をきたす可能性があります。中には胎児に後遺症を残してしまうケースもあるので、感染症には注意が必要です。このページには妊娠中に気をつけたい感染症について解説します。
妊娠中に感染してしまえば、お腹の中にいる赤ちゃんにも影響を及ぼす恐れのある感染症について見ていきましょう。
妊娠周期が20週までの妊婦が風疹ウイルスに感染してしまえば、難聴・白内障・心疾患などの症状を胎児が引き起こす可能性があります。妊娠中は予防接種もできないため、妊娠前には風疹の抗体があるかどうかをチェックしておきましょう。またパートナーなど男性も周囲の妊娠している女性に感染させないため、風疹の抗体チェックや予防接種が大切です。もし妊娠中に抗体が少ないと分かれば、妊娠20週までは人ごみを避けるようにしてください。
トキソプラズマ症はトキソプラズマと言う原虫が要因で発症する感染症です。トキソプラズマは猫の大便や猫の便が混ざった土などに繁殖しており、ほとんどの方は感染したとしても無症状と言われています。妊婦が感染すれば、胎児は先天異常・眼の異常・脳内石灰化・水頭症などの症状が現れることがあるでしょう。妊娠中はしっかりと手を洗う、生肉を食さない、野菜・果物は良く洗うなどの対策が大切です。
90%以上の方は幼少期に感染しているため抗体がありますが、もし妊娠中に感染すれば重症化してしまい、胎児に皮膚の萎縮・眼の異常・手足の低形成などの症状が起こることも。妊娠中は予防接種も受けられないので、もし水ぼうそうに感染した経験がないのであれば、人ごみを避けるようにしましょう。
水ぼうそうと同じウイルスが原因で発症します。妊娠中は免疫力が低下しやすく、水ぼうそうに一度感染した方でも帯状に発疹が出ることも。
ほかにも妊娠中に注意したい感染症を紹介します。
麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症のことで、免疫のない方であれば90%以上感染すると言われています。妊娠中に感染してしまうと重症化しやすく、早産・流産のリスクを高める可能性もあるでしょう。基本的に日本では麻疹ワクチンの予防接種が普及しており、患者数は少なくなっています。しかし抗体が弱まってきた人やワクチン未接種の方もいるので、もし周囲に麻疹に罹っている方がいれば避けるようにしてください。ただ胎児への感染リスクは低いと考えられています。
予防できるワクチンはなく、マスク・手洗いで防ぐことが大切です。妊娠20週未満の母体に感染すれば3割ほどの胎児に影響をきたし、胎児水腫・子宮内胎児死亡などのリスクを伴います。
B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスによって発症します。妊娠初期に血液検査を行い、感染しているかどうかをチェック。もし感染していることが判明すれば、B型肝炎であれば出産後すぐに赤ちゃんにワクチン投与を行い母体からの感染を防止します。またB型肝炎よりは感染力自体は低いとされているC型肝炎ですが、産道感染を起こすケースもあるため帝王切開になる場合がほとんどです。
HTLV-1による感染症で、白血病を引き起こす可能性があります。授乳によって赤ちゃんに感染する恐れがあります。
クラミジアや梅毒は性的接触によって感染し、自分では知らずに感染していることも。クラミジアは妊娠初期に感染すれば流産のリスクを高め、妊娠中に治療を行うと産道感染を防げるでしょう。梅毒も妊娠初期の血液検査で感染の有無を調べ、感染が発覚しても早期に治療が行えます。
HIVによって発症する感染症で、妊娠初期に検査を行う医療機関がほとんどです。もし母体が感染していても薬剤・帝王切開による出産・粉ミルクの使用などの対処を行うことで、赤ちゃんへの感染リスクは低下すると言われています。
日常の中で当たり前に存在しているウイルスで、妊娠中に感染すれば胎児の低出生体重・黄疸・肝機能異常・難聴などのリスクを高める可能性があります。また赤ちゃんからの唾液・尿から感染する恐れもあるので、必ず手洗いを行い、食器の共有などは止めましょう。
妊娠中は重症化になりやすく、妊娠初期であれば流産のリスクを高めます。ただ奇形・先天異常などを胎児が発症する可能性は低いと考えられているようです。
母子感染することはありませんが、免疫力低下の状態にある妊娠中は重症化傾向にあるので注意が必要です。インフルエンザワクチンは妊娠中でも接種できるため、予防接種を行う・手洗いやうがいの徹底などを心掛けると良いでしょう。また発症したとしても抗インフルエンザ薬は、基本的に妊娠中でも服用可能です。
母体が感染することで、産道感染のリスクを高める感染症も存在します。ここでは産道感染を引き起こすかもしれない感染症をチェックしましょう。
GBSに産道感染すれば、GBS感染症を引き起こすリスクが高まります。そのため妊娠後期に検査を行うケースが多いでしょう。
カビの一種であるカンジダが要因で発症し、妊娠中は何度も感染することもあります。外陰部の痒み・痛みが主な症状で、出産時に強い症状があれば赤ちゃんが皮膚炎などを呈する可能性も。
食中毒のひとつで、稀な感染症です。母体から胎児に感染すれば流産・死産の恐れもあるため、非加熱の生ハム・ナチュラルチーズなどは控えた方がいいでしょう。
水ぶくれのようなものが性器にできてしまい、産道感染を起こせばヘルペス脳炎・新生児ヘルペスなど重篤な感染症リスクを高めます。
自覚症状を感じにくい感染症です。ただ赤ちゃんが出産時に感染すれば、新生児結膜炎を引き起こし、失明する可能性があります。
子宮頸部や性器にイボができる疾患で、産道感染をすると喉頭乳頭腫を引き起こします。
免疫力が低下しているときに罹患しやすく、トリコモナスと呼ばれる原虫が要因で発症します。外陰部・腟に強いかゆみなどの症状が起こるでしょう。
妊娠中は免疫力が低下しており、感染症に罹患しやすいでしょう。もし母体が感染してしまえば、胎児・乳児に悪影響を及ぼすケースもあるので注意が必要です。早期発見すれば対処できる感染症も多くあります。定期検診をかかさず受診するなど、しっかりと感染症予防を行い、妊娠生活を楽しみましょう。
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