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子宮の中でぐるぐると動き回る赤ちゃんは、通常頭を下に、子宮口に向いた状態で生まれてきます。ですが中には、足が子宮口を向いて、分娩時にもそのまま直らない、「逆子」の状態の赤ちゃんもいます。
ここでは、逆子とはどのような状態なのか、その原因、直し方はあるのかなどをまとめました。
逆子は医学用語で「骨盤位」と言い、赤ちゃんの体制や向きによって、いくつもの種類があります。例えば、赤ちゃんがお尻を下に向けているのは「殿位」、足を下に向け、まるで立っているような姿勢は「足位」、膝立のような姿勢になっているのが「膝位」、横に寝ている状態は「横位」、斜めになっている状態は「斜位」などです。これらもさらに細分化されて一つ一つに名前があります。
赤ちゃんはおなかの中でくるくると姿勢を変えるので、妊娠中期の30~50%は逆子であるとされ、検診で逆子と言われたことのあるママも少なくないのではないでしょうか。妊娠30週頃には自然に下を向くようになることが多く、逆子の状態での分娩は全体の4~5%程度です。条件によっては自然分娩も可能ですが、頭から生まれる分娩に比べると、リスクが高くなります。
逆子になってしまう原因は、羊水の量や子宮の形など諸説ありますが、多くの場合は特定されていません。ただし、いくつか分かっている要因の一部は、ママ側、もしくは赤ちゃん側のどちらかに異常がある場合です。ですが、ママのせいでも赤ちゃんのせいでもありませんから、安心してくださいね。
ママ側に原因がある場合は、以下のような場合があげられます。
赤ちゃん側に原因がある場合は、以下のような場合です。
一般的に、逆子だと診断された際、逆子を直すために勧められている方法があるので、ここでいくつか紹介しましょう。
最終的に逆子のままでも大きく問題はありませんが、対処をしなかったことであの時やっていたら、とあとあと心残りになるかも…と心配になるようであれば、無理のない範囲で、気軽に試してみてくださいね。
勧められる方法の中で、主流なのは逆子体操です。体操といってもヨガのようにポーズをとる胎位矯正で、赤ちゃんの回転を促すものです。先輩ママたちの「直った!」という実体験も多いですが、科学的な根拠はなく、必ず直る、というものではないため、逆子を直すことだけを目的にしないようにしましょう。
身体を温め、リラックスして、赤ちゃんに話しかけながら行うのが体操のポイントだそう。お腹の赤ちゃんとコミュニケーションをとる、良い時間になりそうですね。もちろん、体操によるリラックス効果、リフレッシュ効果もあるので、精神安定にも繋がります。
無理せず、医師と相談しながら行ってみましょう。
お灸は、昔から逆子を直すために用いられてきた伝統的な方法のひとつで、逆子体操と同様科学的根拠はありませんが、やはり直ったという実体験もあり、逆子のための施術メニューのある鍼灸院もあるほどです。
逆子直しの代表的なツボは、足の内側のくるぶしから指4本分ほどにあり、血の巡りをよくする「三陰交」と、足の小指の生え際、爪の外側にある「至陰」です。セルフお灸を妊婦さん自身でしようとすると、お腹をつぶしてしまうこともあるので気をつけましょう。ご家族に協力して置いてもらうといいですね。
術者1~2名の手により、おなかの逆子の赤ちゃんを頭位に戻す、外回転術という手技も選択肢の一つです。
ガイドラインでは早産の時期を超えた37週程度が理想的とされてきましたが、近年では35~36週で考慮してもよいという論文もあるそう。ママの身体の状況によって医師と相談しましょう。
具体的には、ママは頭部を下げ、下半身を持ち上げる姿勢をとり、お腹の張り止めと痛みと緊張を解くための麻酔をします。術者は超音波で赤ちゃんの向きを確認しながら、ママのお腹の外側から赤ちゃんを支え、頭位になるように回転させていきます。所用時間はほとんど2~3分、長くても10分程度の手技となり、再び逆子になる確率も低めです。
ただし、子宮の壁から胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離や、赤ちゃんの心拍異常、性器出血や早産の可能性、また確率は低いですが緊急帝王切開になるママも1~2%おり、リスクを伴う手技でもあります。そのため、受けるためにはいくつもの条件が設けられており、それらを満たし、充分な説明を医師から受けて、同意することで初めて行うことができます。
逆子の原因自体がほとんど解明されていないため、絶対的な予防法はありません。ですが、産婦人科の医師の中には、運動不足の妊婦さんに多いと傾向を感じることがあるようです。日ごろからの逆子体操やウォーキングなど、無理なく取り入れていきましょう。
また、冷えによって子宮まわりの筋肉が固まって、子宮が収縮してしまうことがあるため、特に下半身を冷やさないことや、ストレス状態は結構を阻害するので、ストレスを溜めないようにすること、子宮の収縮を促す動き(段差を避ける、高い場所のものを取ろうとしないなど)を避けることも挙げられます。
逆子だと診断される時期は、おおむね30~32週と言われています。超音波検査によって頭が下にあることが確認され、診断されます。妊娠中期ごろから言われたママもいるかと思いますが、その後赤ちゃんが自分で回転して頭位に戻ることが多いため、正式に診断されるのは30~32週頃になるというわけです。
赤ちゃんは、出産の直前まで頭位に戻る可能性があります。帝王切開で来院したら、頭位になっていたというケースもありますから、もし診断されて不安に思っているママがいたら、そのことを念頭に置いておきましょう。
妊娠中には目立ったリスクを伴わない逆子ですが、経膣分娩をしようとすると難産になりやすく、様々リスクがあります。
具体的には、頭位での分娩より早い段階で破水をしてしまったり、破水時にへその緒だけ先に子宮外に出てしまい、赤ちゃんに充分な酸素が送れず低酸素血症などの原因になったり、微弱陣痛を起こしやすいために分娩が遅れ、赤ちゃんの機能不全を起こしやすい、などがあげられます。
米国産婦人科学会の勧告も後押しし、日本でもほとんどの施設で帝王切開を採用しています。
通常の頭位の赤ちゃんのママも、おなかの張りには充分気を付けてほしいですが、逆子のママには特に注意が必要です。万一破水してしまった場合には、羊水が著しく減少してしまう可能性があるからです。正期産期の破水は問題ありませんが、37週未満の場合は早産の原因となったり、羊水過少による赤ちゃんの細菌感染や、臍帯圧迫が起こり、緊急帝王切開を行わなければならない場合もあります。
少しだからと軽視したりせず、病院にかかりましょう。
逆子と一言で言っても、その姿勢の違いによってさまざまな種類があると説明しましたが、この種類によって破水時の危険度も変わるため、検診時に体勢を確認しておくことが必要です。危険度としては、
お尻が一番下にある(殿位)<膝が一番下にある(膝位)<足が一番下にある(足位)
となります。
頭位での分娩は一番大きな頭から出てくるため、その他の部位が出てくるときには充分に産道が開いている状態です。対して逆子の場合ですが、特に膝や足が一番下にある場合、小さな足が先に通って頭は最後になるので、産道が頭が通れるほど広がっていない状態です。そのため赤ちゃんが完全に出てくるまでに時間がかかり、ママの身体にも赤ちゃんにもリスクが高まるというわけです。お尻は比較的大きいので、頭が通る際には産道が開いているため、リスクとしては一番低くなりますが、絶対安心ではありません。
逆子と診断されても、慌てる必要はありません。出産時までに頭位に戻る可能性もありますし、なによりおなかの赤ちゃんに影響はないので大丈夫。原因もほぼ不明ですから、ママのせいでも、赤ちゃんのせいでもないのです。
ただし、破水してしまうかもしれないことや、それに伴うリスクは知っておきましょう。いざその状況になった時に、すぐに病院にかかるなど、ママの身体のためにも赤ちゃんのためにも、適切な行動をとることができるからです。
まずは逆子体操やお灸などを試し、赤ちゃんに声をかけながら、直らなかった場合のことも視野に入れて、医師や家族と相談しておくといいでしょう。
ムーニー_逆子の原因や直し方は?帝王切開になる?(https://jp.moony.com/ja/tips/pregnancy/pregnancy/fetus/pt0656.html)
子育て情報誌kodomoe(コドモエ)web‗逆子を戻すためにできることは?(https://kodomoe.net/serial/maternity_trouble/37996/)
横浜市の先輩ママに聞いた!
分娩・産院の満足ポイント